神戸市灘区六甲道駅近のリンゴ健康院です。主に鍼灸治療を行なっています。

精神疾患について

中部地方にお住まいでパニック障害が疑われる方から治療法を尋ねられました。
パニック障害やうつ病など、最近になってから、以前にも増してよく耳にするような気がします。この機会に、パニック障害やうつ病などの精神的な疾患について書きたいと思います。
鍼灸でパニック障害が治せるというと驚かれる方が多いのですが、パニック障害やうつ病といった精神的な疾患も鍼灸治療の範疇となります。昔活躍されていた有名な鍼灸師の書籍を読むと、うつ病やそう病、躁鬱病だけでなく、神経症(ノイローゼ)やヒステリー、チック症なども鍼灸治療されていた記録があります。
実際、当院でも鍼灸治療をおこなっており、長年薬を飲まないと不安で生活できなくて、電車に乗ろうとすると動悸がして乗る事が出来なかった方が、鍼灸治療で症状が改善され、薬はもういらないと自ら医師に告げられた方もいらっしゃいます。

五臓六腑と経穴(ツボ)の関係

ご存知かと思いますが、鍼灸治療においては身体全体にあるツボを選択して鍼や灸で刺激を与えて治療していきます。ツボが並んでいる経絡(けいらく)には内臓の名前がついたものがほとんどだということからも、鍼灸治療は「内臓の働きを整えて、表面に出ている症状を治していく」という考え方が基本となっています。
また、以前に掲載した陰陽五行論のページを見ていただくとわかりますが、各臓腑が感情(五志)や意識・精神状態(五神)と関わりがある事がわかります。

例えば、精神的なストレス等があると自律神経のバランスが崩れ、胃痛や胃けいれん、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、下痢や便秘という状態が起こる事があります。また、逆に胃もたれや便秘から不快感を感じたり、原因不明の疲労感や集中力の欠如といったことが起きて、生活に支障をきたすこともあります。
内臓を初め身体全体に分布している自律神経(無意識に身体を調整する神経)は、交感神経と副交感神経に分類されています。
交感神経は身体を戦闘状態にして、心拍数があがり瞳孔が開き消化が低下し、緊張状態を作ります。一方、副交感神経は消化管の運動や消化液の分泌を促し、身体をリラックスさせていきます。「胃腸は心の鏡である」とか「腹部は感情の共鳴板である」(※)という言葉も残されています。
昨今出版されている書籍を読んでみると、脳に存在する神経伝達物質である「セロトニン」が腸からも発見され、その全体の95%が腸で作られていることが分かったそうです。そこで、腸を「第二の脳」として考える医師や学者もいらっしゃいます。

受精卵から最初に消化器が作られる

精子と卵子が出会って受精卵が出来ますが、最初に作られる器官は何かご存知でしょうか?最初に作られるのは「消化器」なのです。だからといって消化器だけが大切だとはいいませんが、私はこの点に注目し、患者さんにもよく食生活をお尋ねします。食べ物をきちんと消化して栄養とそうでないものを分類し、必要な栄養として活用できる体にならなければ病気になります。ですから、それに関わる肝臓や膵臓を初めとする全ての臓器がバランスよく働くことが大切であり、身体全体がうまく機能してこそ健康な人間でいられます。

食生活も含めた生活習慣の改善も大切

自力で健康でいられる人は、適切な食事・食品、適度な運動、適度が睡眠をとることで回復していきます。しかしながら、現代社会に生きていて様々なストレスやより良い情報を得る事ができず、暴飲暴食や偏食、睡眠不足や過労などで生活に問題が多く起きて病気になり自力で治せなくなった場合、どうしても他人(治療家)の力が必要です。
精神的に不調をきたすとどうしても家にこもりがちになってしまいます。できるだけ早く治療を始めるように心がけてください。

【参考図書】
「病気にならない生き方」新谷弘実著 サンマーク出版
「内臓感覚 – 脳と腸の不思議な関係」福土審著 NHKブックス
「腸は考える」藤田恒夫著 岩波書店
「新訂 目で見るからだのメカニズム」堺 章著 医学書院

【参照ページ】
避けて通れない「陰陽論と五行論」(2)
(※)米国の精神身体医学の権威者、ワイス教授とイングリッシュ教授の言葉とされています。