需要が多いので加筆して再掲載します

意外と思われるかもしれませんが、肩こりは左肩と右肩とで異なった原因でおこります。
内臓の不調や精神の不調、あるいは、食べ過ぎ飲み過ぎなど、肩こりは右と左でそれぞれ異なった原因から起きていると考えられます。
例えば、内臓の不調や精神的なストレスから起きているです場合は「肩のこりをほぐせば終わり」というわけではありません。
たとえ肩をほぐしてその時は楽になっても、また元に戻る方が多いと思います。
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【右の肩こりについて】

実は、右側の肩こりと肝臓や胆のうは関係があることが分かってきています。
右側の大胸筋は、胆のうや肝臓と神経的に繋がっています。
肝臓に問題があるときは、肝臓の上にある横隔膜が刺激されて、右肩の動きが悪くなるため右肩がこってしまいます。
胆のう炎や胆石のときは、右肩から肩甲骨にかけて強く痛むと同時に、右上腹部が激しく痛みます。
右肩の一番上の辺り(僧帽筋の上部)にその反応が出る事もあります。

肝臓・胆のうへの負担としては、

・アルコールを普段からよく飲んでいる。或は、量は少なくても毎日飲酒して休肝日が無い。
・精神的ストレスが多い、イライラしがちである。
・水分不足。
・酵素の多い野菜類が少なく、肉食が多い。
・食品添加物が多い食事が多い。
・長い間薬を飲んでいる(西洋薬、漢方薬問わず)。
・胆石症・胆のう炎(右肩、右肩甲骨内側)、急性肝炎・肝臓癌(右肩)等の疾患がある。

などが考えられます。

関連痛かもしれません

内臓の病気が、体の表面のある領域に痛みとなって、投射されることを「関連痛」といいます。
関連痛が肩に現れることも多く、これが肩こりを引き起こすこともあるのです。
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ初期の自覚症状がほとんど現れないことでよく知られています。

肩のこりだけでなく、右悸肋部(右脇腹)に鈍痛を感じたり、風邪をひいた時のように体がすごく重たく、常に疲れが取れない・血液検査などで肝臓の数値がいつも高いなどの心当たりがある方は注意して下さい。
東洋医学的に言うと、肩の一番上の部分には「肩井(けんせい)」というツボがあります。一番肩こりを訴えやすい部分でもありますが、これは胆の経絡なのです。つまり肝・胆は表裏一体ですから、反応が出やすいということです。
また、胆のう炎の方が違和感を訴えることもあるので注意が必要です。

妊婦の方は要注意!!

ただし、妊婦の方は安易に肩を揉みほぐしてはいけません。流産の危険性があります。妊娠中に刺激してはいけないツボや経絡があります。肩井や合谷というツボや肝の経絡、肺の経絡は揉んではいけません。ですから、リラクゼーションサロンや美容院などで安易に肩や腕を揉んでもらわないようにしてください。

右肩のこっている人はイライラが多い

肩こりの治療でよく来られるのはイライラしている方が多いです。ですから肩をほぐすだけでは解決しません。
内臓の調子を整えストレスにも上手に付き合わなければなりませんし、出来るだけイライラしないようにしたほうが良い状態になれます。

【左の肩こりについて】

一方、左側には心臓の影響とリンパ管の影響が現れます。
胃腸など消化器で消化された栄養は小腸で吸収されます。
炭水化物はブドウ糖として、たんぱく質はアミノ酸として静脈へ、脂肪分はリンパ管へと吸収されていきます。
静脈は肝臓へ行き、そこで身体に必要なものへと分解・合成されたり、解毒されたりします。
その後栄養は心臓へ運ばれ重力の力を借りて身体へ行き渡ります。脳へは心臓から直接血液が送られます。

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一方リンパ管は小腸から背骨の左側を通って左肩から心臓の静脈角へと入っていきます。
つまり左肩周囲には栄養が集中しやすいのです。これは首の左側や左後頭部の凝り、左目の奥の鈍痛も関係があります。
肉・脂・糖分・お酒などの暴飲暴食や運動不足、食事時間がバラバラであったり、食べたり食べなかったりというムラがあるという状態から、リンパ液や血液がドロドロになってしまい、左肩周囲が凝る、というわけです。

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先日*1も”焼き肉食べ放題”の後に、左側の肩こりと左肩甲骨の内側の痛みで来院された方がいらっしゃいました。典型的な事例でした。
ただ、普段の感覚とは異なるような酷い痛みや肩こりの場合は狭心症や心筋梗塞などが考えられますから、その場合は病院に行き医師の判断を仰ぐ事をお勧めします。特に左側の肩や背中が凝る・胸にかけての痛みがでたり、左手の小指が痛くなったり・重だるくなることがあります。激しい胸痛発作がおこることもあり、おかしいと感じたらすぐ医療機関を受診しましょう。

肩がこるという感じだけでなく、背中全体が痛んだり強い胸焼け・胸が締め付けられる感じする、人によっては最初「胃痛」と勘違いするする人もいます。
こういった症状が日常よく起こるような場合は注意する必要があります。
肩こりがあるからすぐさま心筋梗塞・狭心症であるというわけではありませんが、普段と違う症状を感じたら早めに病院へ受診してください。

左肩のこりは食事が原因

心臓疾患は別として、左肩がこっている人は、食事時間がバラバラになっていて代謝が悪いか、沢山食べ過ぎて消化しきれないほど栄養を摂っているか、あるいは橋本病のように代謝が低下していて、栄養をうまく処理できない状態にあると考えられます。
ですから、食事を含めた生活習慣を見直す必要があります。

肩をほぐすだけでは改善しない

いずれにせよ、肩こりは(肩こりだけではありませんが)筋肉をほぐすだけでは何も解決しません。
鍼灸治療を受けていただき、きちんと内臓の調子を整え、適度な食事、適度な運動、適度な睡眠をとるように心がける必要があると思います。
また、この世からストレスを無くすことは出来ませんから、息抜きをしたり趣味を持ったり気分転換を行ったり、ストレスと上手に付き合うということも大切だと思います。

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整体指圧マッサージの他、主に鍼灸治療を行なっています。

参考文献:「目で見る からだのメカニズム」堺 章著 医学書院

*1:執筆当時は2013年11月でした