写真は治療院の前にある植木のものです。
もう御水取りも終わり気温も上がり春が来たという感じでしたが、寒の戻りがあり、寒い日が続いたりもしています。
春になるとあちこち痛みが出たり精神的に不安定になったりします。
なぜでしょうか。
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西洋医学的に言うと自律神経のバランスがうまくとれていないという状態です。
自律神経とは「交感神経」と「副交感神経」とに区別され、自分の意思で制御できず、自動的に身体の機能を制御している神経システムです。
■交感神経
体を活発に活動させる時に働く神経が交感神経です。交感神経は「闘争と逃走の神経」と呼ばれています。
闘争として相手と戦う時、体は緊張して心臓の鼓動は早くなり、血圧が上がります。相手をよく見るために瞳孔は散大し、呼吸は激しくなります。同じように、自分を狙う相手から本気で逃げる時も体は興奮した状態となります。
昼間活動中の時に働いています。仕事を頑張っている時も当然働いています。
■副交感神経
副交感神経は体がゆったりとしている時に強く働きます。
例えば、食事中は気分を落ち着かせて食べるのが基本です。睡眠中も同じように体を休めている状態です。このように、食事中や睡眠時など体を落ち着かせている時に強く働く神経が副交感神経です。体を休めている時の状態を想像すれば、副交感神経がどのような働きをするかを容易に理解することができます。
春の不具合は、身体全体の機能をコントロールできなくなる事が原因のため、食欲や睡眠欲はあっても実際にはあまり食べられない、ぐっすりと眠った気がしない、眠っても疲れが取れないという状態になるのが特徴です。こういった症状から、不眠や耳鳴り、頭痛やめまい、体重減少、便通異常、動悸、不安感、疲労感や倦怠感などが引き起こされます。
■東洋医学的に見ると
以前、「陰陽五行論」のページでも書きましたが、東洋医学的に見ると、春は「肝」の季節です。
「肝」は肝臓の働きだけでなく、「成長、昇発」といった気血に対する働きや、「筋を司る」という役割を表したり、「判断力・精神活動を支配している」という事柄など、様々な機能や働きを含めて表現している”記号”のようなものです。
ですから、寒の戻りがあると体表は冷えてくるので、それに対して代謝を上げ体温を維持しようと「肝」は頑張るわけです。
普段から運動不足であれば尚更「肝」は頑張らざるを得ません。食事をしているので身体の中心は温かいかもしれませんが、運動をしていないので筋肉量が少ない手足は冷えてくるわけです。(普段から運動をしていれば予防することが出来ます。)
その「肝」の頑張りが心身のバランスを狂わせることになり、季肋部痛、頭痛、仙腸関節痛、めまい、耳鳴りや咳、アレルギー症状の増加などを引き起こしていきます。
「肝」は気を上へ上へと上昇させていく力(昇発)があるので、眠りたいのに眠れないとか、何となく不安といった事が起きてきます。普段から甘いもの(砂糖菓子やブドウ糖に変わりやすい小麦粉類)をよく食べていると「脾」が病んできますので、「昇清(清い気を上へ上げる能力)」が働かず、全身の気血の巡りが悪くなるので、尚更症状は悪化します。
一方で春になって温かくなると、今まで寒さの為に固まっていた関節に緩みが起きます。
筋肉や関節のバランスも、寒い時は、筋肉の緊張によりバランスが崩れたのが、この時期は、緩む筋肉によりバランスが崩れて、関節痛の症状が起きてきます。足関節、膝関節、仙腸関節(腰の真後ろの関節)等は、筋肉が緩む事によって症状が起き易い部位なので、これらの関節のや痛みが発生し易くなります。
ではどうしたらいいのでしょうか。
当然ながら鍼灸治療で、内臓の働きのバランスを整えて気血の巡りを改善し、こわばっている筋肉を緩めることが大切で症状は緩和されていきます。
また、寒いとはいっても真冬ほどではありませんから、じっと家にいるのではなく、外に出て歩きながら代謝を上げていくことが重要だと思います。また、夜寝る前にスマホやパソコンなどを触らず、出来るだけ薄暗い雰囲気にして眠りやすいようにします。
普段からパソコン作業が多い方は尚更注意してください。
当院の治療は、肩だけとか腰だけといった局所的な治療はしていません。内臓の不調を治して全身の症状を治していきます。ですからバセドウ病や胃炎といった症状も治療できるのです。