今日でゴールデンウィークが終わります

夏の海実家に帰ったり日帰り旅行を楽しんだり、自分の時間を過ごされる方も多かったと思います。
外食が多かったり、あちらこちらと歩き回った方も多いのではないでしょうか。

春の終わりの土用に当たるゴールデンウィークが終わって、家族の脈を診るとすでに夏の脈になっています。
人は冷えていると血液の流れが悪くなりますし、ある程度の体温がなければ細胞や酵素の働きも悪くなるので、体調が悪くなりがちです。
ですから暖かくなってきたので、以前から体調不良があった方々も幾分過ごしやすいのではないでしょうか。

四季によって脈の違いがあります

西洋医学では脈拍や脈の強さなどを見ていますが、東洋医学では脈の状態を中心に診ています。
そして四季によって脈の違いがあるので、それを基本として体調を診るようにしています。

四季の脈
春の脈:肝気が盛んになって弦脈を現す
夏の脈:心気が盛んになって洪脈を現す
秋の脈:肺気が盛んになって浮脈を現す
冬の脈:腎気が盛んになって沈脈を現す

ざっくりと言うと、弦脈というのがギターの弦を弾くような感触の脈で、洪脈(こうみゃく)というのは大らかで力強い脈です。
浮脈というのは血管の表面に触れるような脈で、沈脈は血管の深いところで触れるような脈です。

そして夏と秋の間に「長夏」という時期を入れて五季とし、脾を割り当てます。
長夏の脈は「緩脈」が該当します。一般的に鰻をよく食べる土用の時期です。
本来この時期は脾胃に負担をかけず、食べ過ぎ飲み過ぎに注意しなければならない時期です。
ですから本当は脂っこく消化に負担のかかる鰻は控えめの方が良いでしょう。

脈の分類は他にもあり、細かいニュアンスを把握するには良い先生に出会い、様々な脈を経験することが必要です。今回は他の脈の状態については割愛します。

病と脈との関係

病気にかかると脈に現れます。
例えば、風邪をひいた時は浮脈が現れますし、瘀血(おけつ=血液の流れが悪い状態)になると沈脈になります。胃腸に水が多いような時でも沈脈になります。
病気や体調不良のときは、元気のない脈であったり、表面上は元気そうで中はスカスカで力が無いとか、何か細かいものが流れているような感触の脈もあります。そういう風に病と脈に関係があるということです。
ですから季節の脈を把握した上で、季節と合わない脈を感じた時は何か体調の不良があるということになります。

季節を無視して治療は出来ません

治療の前に患者さんの脈を診ますが、その時の状態を把握すると同時に、「季節に合っているかどうか」を確認しています。
例えば、春に肝がちゃんと働くことが出来なくて体調が悪いのであれば、肝が働くように治療すれば元気になれます。
しかし、長夏の季節に「肝が元気ないから」といって、無理やり肝が元気になるように治療すると、「木克土」(木が土を克する=木の気が土の気を負かせてしまう)ということにになり、脾胃が病んでしまいます。
ですから季節を無視して治療は出来ないのです。

同じように夏の時期に、「腎虚(腎に元気がない)」といって腎気を補って治療すると、「水克火=水の気が火の気を負かせてしまう)」ということになり、心小腸に負担がかかり病んでしまったり、症状が悪化したりします。
水が火を消してしまう、という例えです。

つまり、五臓六腑のバランスを整えるように治療することが基本ですが、季節や時間などを無視して治療すると逆に病が深くなってしまったり症状が悪化することになります。それに個体差もあるので、教科書通りの治療をしてはいけないということになります。

夏に摂る食事も大切です

ゴーヤ以前のブログにも書きましたが、五行論では夏は心・小腸と対応していて、苦味を摂ると良いとされています。
苦味で思いだされるのがゴーヤやセロリ、パセリです。
暑い沖縄でゴーヤがよく食べられているのも頷けるというわけです。

ゴーヤの苦味はモモルデシチンとチャランチンという成分によるもので、インスリンと同じ効果があるといわれているようです。
それらが血糖値を下げたり、血中の中性脂肪やコレステロールを下げるため、糖尿病に効果があるとされていますが、細かい機序はまだまだ不明だそうです。

例えゴーヤが体に良いと言われていても、夏野菜は体を冷やすと言われていますから、摂りすぎるとよくありません。
特にウリ科の食物であるキュウリやスイカなどは体を冷やし利尿作用があるので、その結果血液中の水分が減って粘り気が増し心臓の負担が増えます。
水分を補うようにしなければなりません。

東洋医学的にも苦味のあるものを摂りすぎると心・小腸に負担がかかるということになるので適度に摂るのが大切です。
季節にあった野菜の摂取は必要ですが、なんでも摂り過ぎは病気のもとだということです。

飲食物の注意

夏だからといって水をがぶ飲みしてもいいというわけでもありませんし、夏野菜や冷たい麺類ばかり食べてもよいというわけでもありません。
飲食物にも注意が必要です。
確かに夏は気温が高く汗をよくかきますから、先ほども書きましたが、水分をしっかりとることが大切です。
ただ汗をかくからと水だけ摂るとミネラルが不足気味になります。出来ればミネラルウォーターに梅酢や海水から作った塩を少量入れて飲むのが良いでしょう。

一方汗をうまくかけないと体の中心が熱くなるので、冷やす食材をとりがちです。
例えば夏野菜や素麺や冷や麦などです。しかし胃腸を冷やすものばかりを食べていると胃腸が弱り夏バテになります。
胃腸も筋肉があるので、冷たいものを食べることは頭から冷水を浴びると縮み上がるのと同様で、胃腸が縮こまってしまい夏バテの状態になります。
冷える飲食物もほどほどにした方が良いです。

ところで、冷ややっこを食べる方も多いと思います。
冷ややっこを食べる時に刻みネギやおろし生姜を一緒に食べますが、ネギや生姜は体を温める作用があります。
和食は本当に良くできた食事法だと思います。

夏に向けての養生

苦味のあるものと一緒に、暖める作用を持つネギや生姜などを一緒に摂取すると良いと思います。
夏場にカレーライスを食べたくなるのも、辛子が胃腸の働きを促して消化を進め、体を温めるので一理あります。
夏場にカレーライスを食べる元気がないという方は、生姜やネギ・玉ねぎあたりから始めたら良いかと思います。
糖分の分解に必要なビタミンB1を多く含むゴマや海苔も良いです。ざるそばを食べる時に両方出されているのは納得できると思います。

そしてやはり運動が大切です。今ほど動きやすい時期はありません。夏になると異常な暑さで外へ出かけるのも億劫になりがちです。
今の時期、出来れば朝の涼しいうちに出かけて軽く汗をかくくらいが良いと思います。
汗をうまくかけないと飲食物の消化の為や生命活動を維持するために体の中心に熱を保持しようとしてしまいます。
上手に熱を冷ますことができなければその熱がずっとたまり不具合が起きてきます。
そうなると梅雨の時に汗をかけなくなるので、体が重くなったり古傷が疼いたり、頭痛がしたり気分が滅入ってきたりします。
くれぐれも上手に養生して頂きたいと思います。

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