医師が健康診断の時に患者さんのどこをどのように見ているか

カルテインターネットのニュースに面白い記事がありました。
医師が健康診断の時に患者さんのどこをどのように見ているか、という話です。

一部を抜粋して引用させてもらいながら、鍼灸師がどのような所をみているか整理しみました。


出典元はこちらです。
医師は健康診断で何を見ているか内緒で教えます」 nikkei BPnet (カラダに嬉しい豆知識「Dr.鷲崎の健康エビデンス」)
5月25日(月)10時26分配信

治療院に入ってくる時から

●診察は診察室に入ってくるときから始まっている
診察は診察室に呼び込まれたときからもう始まっています。
部屋に入ってくるときの歩き方をみます。下肢の異常や下肢を支配する神経の状態を知ることができます。次に椅子に座るよう指示されますが、わざわざ小声で言います。聴力検査の代用になりますし、言われたことを正しく理解し実行できるかもチェックできるわけです。

この部分は鍼灸治療でも同じです。治療院に入ってくる時から、歩き方から声に張りがあるか否か、話し方や体のゆがみ、歩き方、姿勢がおかしくないか等を見ています。

望診・舌診は重要です

内科診察は一般に身体の上から始めます。顔の色艶や皮膚の発疹の有無を見ます。下まぶたをアカンベーの状態にすると貧血があるかがわかります。それと同時に眼球の白目の部分をみて黄疸がないかをみます。
次に口を開けてもらい、扁桃腺の肥大を調べ、舌苔のつき具合、見える範囲だけですがムシ歯や歯周病もある程度分かります。その後頚部を調べます。頚のリンパ節や甲状腺の腫れなどを触診で診ます。

鍼灸師は舌診をしますが、それは舌の状態(色・形)や苔のつき方などを見ています。
舌がとんがってるとか広がってるとか歪んでるとか、或は歯痕があるか真ん中に溝が出来てるか、潤いが強いか弱いかなどです。
そして苔が白いか色が付いているか、厚い苔か薄いかなども見ています。
鍼灸治療において舌に内臓の状態が現れると考えているので、舌診は重要です。

他に顔色はもちろん顔のどこかに引きつったところが無いかとか、特徴的な印が現れてないかなども見ています。
胆嚢を切除したとか子宮や卵巣を切除したといった情報も顔に出ていたりします。
良く食べる人の特徴もあります。
他には目に力があるかどうかとか、精神的に弱っていないかとか、寝不足がないかとか抗うつ剤や睡眠導入剤などを服用していないかなども見ています。
その人の性格が出ている事もあります。

腹診はとても重要です

胸部や腹部の診察でチェックしているのは
次が胸部の診察です。胸部はX線写真を見るので省略されがちですが、結核予防法が改定され健診では一般には毎年の撮影は不要とされました。結核予防法は新感染症法に統合されましたが全年齢に撮影するのではなくハイリスクグループを重点に撮影することになったことにはかわりはなく、労働安全衛生法もこれに準じたものになりました。従って健診ではX線写真から得られる情報がない年齢の人もいることになり、胸部の診察は結構大事ということになります。
胸部はまず打診。八百屋さんが西瓜を叩いて熟れ具合を判断したり、大工さんが壁を叩いて内部の梁の存在をみたりするのと同じで、心臓の大きさや肺の空気 の入り具合を診ることができます。そして聴診ではX線写真では分からない情報、すなわち気管支や肺への空気の出入りの音、心臓内の血液の流れの音で弁膜の 状態、血液の逆流などが分かります。

いわゆる「打診」という方法ですが、鍼灸師はしません。
鍼灸師は脈診で患者さんの体調をみることが基本となっています。もちろん舌診・腹診・背侯診も行ないます。
先にあげた舌や苔の状態以外に、お腹の緊張具合や引き攣れ、凹み具合なども見ます。背中も同様です。筋肉の盛り上がり方や凹み方、骨のゆがみが無いかなども見ています。
そして、脈にも色々な情報が隠されていますが、脈診の話は後日に整理したいと思います。

徒手検査をすることもあります

次にベッドがある診察室なら腹部の触診をします。主に肝臓の大きさ、胆のうの腫れ、胃や十二指腸の圧痛、ときには本人が気づいていない大きな子宮筋腫が みつかることもあります。さらに余裕があればハンマーを使って腱反射を診ることもありますし、小型の眼底鏡があれば眼底をチェックすることもあります。

腹診は鍼灸師にも重要です。何しろ経絡・経穴は五臓六腑の名前がついているくらいですから、内臓の調子の善し悪しを判断出来なければ治療ができません。お腹を触ってみることで患者さんの調子をみて治療方針を立てる事が重要です。
お腹全体の緊張がとれていくように施術していきます。

それから、腱反射をみることもありますが、上肢や下肢に不具合がある場合は徒手検査(手で患者さんの体を動かしてみて検査をする)を行なうこともありますし、患者さん自身に体を動かしてみてもらって痛みや動きにくいところが無いかを調べたりします。

血液検査はできません

診察から精密検査になるものも
診察から精密検査になるものでは、まず甲状腺疾患があります。甲状腺腫大の多くは甲状腺機能亢進症ですが、その逆の低下症のこともあり、血液中の甲状腺ホルモンの測定が欠かせません。
頚部や鎖骨のすぐ上のリンパ節大があるとそれは身体のどこかの悪性腫瘍の転移のこともありますので十分な検査を追加しなければなりません。
聴診器で得られる情報から気管支喘息や各種の気管支炎の診断に進めていくため、詳細な肺機能検査が用意されています。また心雑音は心臓弁膜症の重要所見 ですが、超音波検査を追加すると血流の逆流の状態などを体外から安全に観察することができますし、カテーテルを用いた検査に進めると、治療方針決定に重要 なデータが提供されることになります。

鍼灸師は当然血液検査は出来ません。ですからバセドウ病でも橋本病の患者さんが多く来院されますが、定期的に医療機関で血液検査をしてもらいます。
体調の変化を追う事も良いのですが、血液検査の方が具体的で分かりやすいからです。

最近のお医者さんは患者さんの顔を見ずにパソコンの画面ばかり見ているという話も聞きますが、レントゲン装置や検査装置などを使えない鍼灸師は、患者さんの外観や体に触れて情報を手に入れる技術が大切であり、それが出来なければ治療方針が立てられないということです。

また、患者さんの問診も大切なので、出来るだけ患者さんと話をするようになります。
原始的な方法かもしれませんが、確かな情報入手方法だと思います。

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