松尾芭蕉について

松尾芭蕉松尾芭蕉の出生月日は不明ですが、正保元年(1644)に松尾与左衛門の二男として生まれ、本名は松尾忠右衛門宗房(まつおただえもんむねふさ)というそうです。

かなり堅苦しい名前に聞こえますね。

江戸時代前期に活躍し、『俳聖』と呼ばれていました。

「奥の細道」という作品が有名ですが、「野ざらし紀行」という紀行文もあります。

「月日は百代の過客(はくたいのかかく)にして、行きかふ年もまた旅人なり。〜」
で始まるのが「奥の細道」です。

学校で暗唱させられた記憶があります。

松尾芭蕉は元禄7年(1694)10月12日、旅先の大阪で病に倒れ51歳にて生涯を閉じました。

奥の細道にあるツボ

以下は「奥の細道」の一部抜粋です。

「もゝ引(ひき)の破(やぶれ)をつゞり、笠(かさ)の緒(お)付(つけ)かえて、三里(さんり)に灸(きゅう)すゆるより、松島の月先(まず)心にかゝりて、住(すめ)る方(かた)は人に譲(ゆず)り、杉風(さんぷう)が別墅(べっしょ)に移(うつ)るに、
草の戸も住替(すみかわる)る代(よ)ぞひなの家
面八句(おもてはちく)を庵(いおり)の柱に懸置(かけおく)。」

足三里

文中に「三里」という言葉がありますが、これが足三里という経穴(けいけつ=ツボ)です。

足三里の経穴は「足の陽明胃経(ようめいいけい)」という経絡にあり、脾胃(ひい)の働きを調節する経穴として有名です。

脾も胃も消化作用の重要な臓器でもあり、消化活動そのものをシンボリックに表しています。

松尾芭蕉は毎朝、旅に出る前に足三里にお灸をすえて体調を整えていたことがわかります。

おそらく旅先での食あたり・水あたりなどしないよう、体調を崩さないように考えて足三里に灸をすえてから旅立ったのでしょう。

一方で足三里は文字の通り足にありますから、「健脚」の治療として使われることもあります。

スネの横にある前脛骨筋(ぜんけいこつきん)という筋肉の上にありますから、この筋肉がちゃんと働かないと足首を上に曲げることができなくて、歩いている途中でねん挫する危険性もあります。

松尾芭蕉の時代は現代のように飛行機やバス、鉄道や自動車など、自転車も無い時代ですから、旅は足が頼りです。

馬や駕籠(かご)という交通手段があったとしてもお金がかかりますし、当時の移動手段は足(脚)になります。

受精卵から最初に出来る器官

受精卵の卵割・分化ところで、精子と卵子が受精して受精卵となり、細胞分裂を起こして最初に出来る器官は何かご存知でしょうか。

受精卵の中が一部空洞になり、外壁に当たる部分がが落ち込んで「原口」となり、その先が「原腸」と呼ばれるものになります。

つまり、口と腸が出来始めるのです。

いわゆる消化器ですね。

その他の臓器は後で出来てきますし、特に脳は最後になります。

脳の研究は盛んですが、東洋医学においては五臓六腑に重きを置き、しかも精神活動も五臓六腑の活動が影響しているとしています。

東洋医学では胃腸を始めとする消化器やその機能、それに加え肝臓や腎臓など臓腑全体の働きのバランスを重視しています。

今も昔も胃腸が大事

調子の悪い胃受精卵の話でわかるように、動物が一番に必要な機能は栄養を吸収して不要なものを取り込まないという働きが大切です。

動物は狩をするか牧草を食べるか、移動しながら生きています。

今の人間は交通手段が発達したおかげで足腰が弱ってしまい、そのせいで内臓もひ弱になっていますが、体の丈夫であったであろう昔の人でも自分で養生して足に灸をすえていたのです。

足に胃の経絡があり、胃腸の調子を整えながら、脚の調子も良くできるというのはとても興味深いことだと思います。

薬を使わない鍼灸治療

鍼灸治療を受ける女性鍼灸治療は肩こりや腰痛だけでなく、他のさまざまな疾患に対応しているのも、そういった内臓の調子を整えるということを基本としている中で、特に胃腸の働きは大切です。

食べ物を消化し、必要なものはちゃんと吸収し、不要なものは便として排泄する、そういった内臓の働きが健康の基本となります。

松尾芭蕉が足三里に灸をすえたのも、長い旅を続けていく上で、足だけでなく胃腸の働きを整えることが健康管理につながり、それが大切であることを理解していたと思われます。

皆さんにも薬に頼らずに健康管理ができる鍼灸治療をお勧めします。

ちなみに彼の持病は「切れ痔」だったそうです。

長い旅の途中で切れ痔の辛い状況を次のような俳句に残しています。

「持病さへ おこりて消入計(きえいるばかり)になん」

病気にならず元気に過ごしたいものです。

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