花粉症の原因と対策を東洋医学的に考える前に・・・

花粉症は突然なる方もいらっしゃいますし、急に治る方もいらっしゃいます。
また、全ての人がなるわけでもありません。何故でしょうか。

まず花粉症が西洋医学的にはどういうことなのかを考えてみます。
花粉症や慢性鼻炎、アトピー性皮膚炎等はアレルギー症状と言われていますが、その背景には自律神経の働きがあると言われています。

自律神経には交感神経と副交感神経という二種類があり、仕事を頑張るぞ!という時は交感神経が優位に働き、血管が収縮し血圧が上昇、胃腸の働きが低下し「頑張るぞ!」という状態になります。
一方、リラックスしている時は副交感神経が優位に働き、血管が拡張し血圧が下がり、胃腸の働きが活発になり消化を促進します。

この二つの神経が交互にスイッチを入れ替えるようにして心身のバランスをとっていますが。これら神経の働きがどちらか一方に傾いたままになることで自律神経失調などの病気になります。
そして、副交感神経優位になったままになるとアレルギー症状が出やすくなります。

一般的に、交感神経が優位に働いている体質の方は腫れ物が出来やすく、イライラや頭痛・不眠・肩こり・便秘・月経困難などの症状が現れやすいのです。
また、副交感神経が優位に働いている体質の方は、リンパ球が増え炎症状態が起こりやすく、アレルギー疾患・喘息・アトピー性皮膚炎・花粉症・浮腫み・知覚過敏などの症状が現れやすいのです。

花粉症と言われている方は、目がかゆくなったり鼻水が出たりといった症状が多いと思います。これは副交感神経が優位になった状態で、体から様々な毒素を排出しようとしている反応です。

そして東洋医学的に考えてみます

陰陽五行論の記事でも述べましたが、臓腑と四季は関連性があると考えられています。

五行
五臓
五腑 小腸 大腸 膀胱
五季 長夏(土用)

春先は肝が旺気して活発になり、草木が芽吹くように心身ともに活発な状態になっていきます。これは交感神経優位と同じと考えられます。
例えば春先に新年度が始まり新しい仕事を始めたりしてストレスがかかると、交感神経優位の状態からバランスをとるために副交感神経優位に傾きます。
春から夏は陽気が盛んで、活発に仕事をする季節です。その分ストレスも多く、その解消や緩和のために副交感神経優位になるよう体が反応し、よく食べてよく飲むようになります。その反動が過剰になると、更によく食べて運動不足に陥りがちです。すると取り入れた飲食物を消化しなければならず、副交感神経優位からなかなか抜け出せなくなります。

秋は「芸術の秋」というより「食欲の秋」です。やはり食べ過ぎてしまいますし、冬は越冬する動物と同じようにエネルギーを蓄えておこうとしてしまうので、やはり食べてしまいます。
つまり、春・夏から秋・冬にかけての暴飲暴食のツケが翌年の春先の花粉症となって現れるということです。
花粉症などのアレルギー体質の方は、副交感神経が優位に働きやすい体質ということになります。

次に鍼灸の経穴(ツボ)や経絡から考えてみます

陽明胃経(一部)鼻や前額面の周囲(おでこのあたり)に陽明胃経という経絡が通っています。
この図は鍼灸の教科書では見かけないものですが、胃の経絡が教科書に掲載されている以外のところも通っていることを解説した書籍のものです。

胃経といっても「胃」そのものだけを表しているのではなく、胃腸を初め消化器全般の機能をも表しています。
それで副交感神経優位の状態で食べ過ぎたりして飲食物を処理できないと、この経絡に沿って不具合が出やすくなります。そういった不具合が、目のかゆみや鼻水といった症状にあたります。
つまり、西洋医学的に考えると、副交感神経が異常に興奮している状態で、花粉による刺激によって、目・鼻・咽喉の粘膜から分泌物が異常に出てくるので、それらが涙・鼻水・痰といった形で排出されます。これが花粉症という状態です。
東洋医学的に考えると過剰な飲食物によって臓腑に負担がかかり、その負担が経絡にそって現れてくる、ということになります。

ですから、花粉症を本当に治したければ今年の夏から始めないといけません。
出来るだけ食事に気を配り、暴飲暴食にならないように腹八分目を心掛けることが肝要です。
実は土用の丑に鰻を食べるというのは胃腸に負担がかかり、かなり高い栄養価を摂ることになるので、お勧めはしません。本来土用は各季節ごとにあり、胃腸を休め、次の季節を受け入れる準備をする時期なのです。

それでも鍼灸治療がお勧めです

薬を使ってアレルギー症状を抑えたり緩和させるのも一つの方法ですが、鍼灸治療を行なうことで、鼻水の緩和や咽喉の違和感の軽減など、かなり楽な状態になれます。
その方法は、胃腸の働きを整え、食欲も抑えながら代謝をあげ、排便も促していくような施術になります。栄養を十分取りつつ過剰にならず、排便で毒出しをさせながら交感神経を優位に促していきます。

そして更には体を動かすことは交感神経を活発に働かせることになるので、副交感神経優位になっている体を切り替えてアレルギー症状を緩和させていくことになります。のんびり歩くよりも少し早足の散歩(ウォーキング)が良いですし、可能であれば心拍数が上がり汗をかけるような軽めの運動が理想的です。

薬は有る意味で「毒」でもあります。緊急時には効果的で良いのですが、漢方薬でも副作用がありますし、解毒の負担も無視できません。その点鍼灸治療は人間が元々持っている治癒力を整えて発揮させるので安全です。

いずれにせよ出来るだけ薬に頼らず鍼灸治療を行なうことで花粉症を緩和しながら、食餌療法や運動療法を取り入れると効果的だと思います。

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参考文献:「図解 十四経発揮」本間祥白著 医道の日本社