風の邪気を入れない

風門穴
最近風邪をひいたとか気管支炎になったという患者さんが来院されることが多いです。

風邪の治療に用いる有名な経穴(ツボ)の中に「風門」というものがあります。
風門穴(ふうもんけつ)は、足の太陽膀胱経に属す第12番目の経穴で、第2・第3胸椎棘突起間の外1寸5分に取ります。
風邪を予防する時にはこの門を閉じておく、つまりここから風邪(ふうじゃ)という風の邪気を入れないようにすることが予防になるというわけです。

風門穴について学生時代からの愛読書である「沢田流聞書 鍼灸真髄」から一部抜粋してみます。

或る患者、風邪の気味あり、先生これに風門へ鍼しながら、
「風邪は風門へ鍼するか灸すればなほる。門とは入り口のことで、風門とは風の入り口ということです。実に経絡の名は面白いですなあ。」

風邪の入る順序。
風門→膈兪→肝兪→脾兪→腎兪→滑肉門→天枢→大巨→期門→心→肺

背部の五柱
「身柱と陶道(風門の中央)と大椎と風門の第一行と、この五穴を背部の五柱といい、咳嗽に著効がある。」

このような記述が見受けられます。
風邪(ふうじゃ)は風邪(かぜ)の元になった言葉で、風(ふう)という邪気が体に入る事で風邪(かぜ)が起きると考えられてきました。
ですから、風邪(ふうじゃ)が体に入らないようにすることで風邪(かぜ)を予防出来るということになります。

ショールやスカーフを使いましょう

ショール男性の場合はワイシャツを着ている事が多いですし、上着を着て仕事をすることが多いので比較的体を冷やしにくいと思います。
一方女性はネクタイをしめることもなく、上着を着る機会も少ないようですから、是非ショールやスカーフを羽織って首筋を冷やさないようにしてください。


ハート型のショール職場ではもちろんですが、電車の中でエアコンの冷風が強い日もあるようです。
風邪(かぜ)をひくと後々疲れます。体力を消耗しないように、また気管支炎や肺炎などにならないように予防が第一です。
手洗いとうがいもするように心掛けて下さい。

もちろん風邪の治療に使います

風門は風邪の治療にも使います。身柱と合わせて使う場合もありますし、患者さんの体をみて奇穴(きけつ)である両相を使う場合もあります。
この肩甲骨の間は冷やしてはいけない場所ですので、お灸で治療する場合が多いです。

風邪:身柱 風門の三穴。二十一壮。

「慢性の風邪は風門の少し外で、督脈から2寸離れた奇穴の両相というのへ、二十壮づゝ五日間灸すれば、大抵片づいて了います。」

両相=どんな悪性の風邪でも必ず治る。身柱と共に灸するのです。両相は風門の外方約五分の処。

風邪の引き始めには葛根湯

葛根湯風邪を引き始めた場合、葛根湯を飲まれる方もいらっしゃると思いますが、汗が出ずに寒気を伴う発熱などがある時の漢方薬です。
汗を出す事で体温を下げて風邪を治そうとする薬ですから、温かい白湯で飲む必要があります。
葛根湯についても鍼灸真髄に書かれています。

葛根湯の解剖
風邪の患者を治療しながら、葛根湯の効に就て話される。
「風邪はすぐに肝に入り、脾に入り次に腎に入るので、葛根湯でそれを防ぐのです。葛根湯の中野芍薬は肝臓にきくので、棗(なつめ)は脾、甘草(かんぞう)も脾、麻黄(まおう)は腎にきくのです。」

「これには葛根湯がよくきゝます。葛根湯は脾の熱を取る名薬です。」

「脾の熱を取る」とあるように暴飲暴食はよくありませんし、甘いものの取り過ぎも禁物です。
また先に述べたように風邪をひいたときは鍼灸治療に著効があります。

漢方薬と併用すると治りが早いので、風邪をひきそうだと感じた時は早期に治療をすることが大切だと思います。
また普段から夜更かしせずしっかり休養をとり、湯冷めをしないように注意をしてください。
特に風門のある首筋や背中を冷やさないように気をつけてください。

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