経穴を刺激して病気治すという考え方

皆さんがご存知のように、鍼灸治療は体に有る361個の経穴(けいけつ=ツボのこと)に鍼を刺したり、お灸をすえたりして病気を治す治療方法です。

(鍼灸専門学校の教科書には361個が正式な経穴と書かれていますが、他にも独創的な経穴もあります。それらについては専門的過ぎるのでここでは割愛します。)

内臓の働きを調える

足の厥陰肝経経穴が並んでいるところを経絡(けいらく)と言いますが、それは内臓を通過し、内臓の名前がついていて、病気に関連する臓腑の経穴を刺激することで、臓腑の働きを調えていくことが出来ます。

普段使う経穴は、主に肘から先、膝から先の経穴を使いますが、必要であれば背中や腰、お腹の経穴を使うこともあります。

そして、鍼灸治療の根本的な考え方となっている「陰陽五行論」には各臓腑の名称が割り当てられているように、内臓の調子が整い、お互いにバランスをとりながら働いていれば病気にならない、または病気から回復すると考えられています。

※参考ページ「避けては通れない陰陽論と五行論

人間の身体はブラックボックス

人間の体はブラックボックスです。

未だに分からないことが沢山あります。

例えば、先のノーベル生理学賞・医学賞を受けられた東京工業大学の大隅良典栄誉教授は、「オートファジー」について研究されて受賞されましたが、それまでは分かっていなかったことです。

東京工業大学:ノーベル生理学・医学賞2016 大隅良典栄誉教授

臓腑の調子が精神に影響を与える

頭痛西洋医学を学ぶと脳が単独で活動して生きているように勘違いしてしまいそうですが、そうではありません。

脳だけで生きているわけではないのです。

例えば、脳神経の伝達物質であるセロトニンは、「幸せホルモン」と呼ぶ人もいますが、その95%が小腸で作られています。

筋肉が活動することでセロトニンが分泌されることもわかっています。

脳は体のおかげで活動でき、幸せを感じることができるのです。

また、過敏性腸症候群に罹患した人はパニック障害を併発することもあると分かってきています。

臓腑の状態が精神に影響を与えるということです。

これは東洋医学の陰陽五行論の考え方にそっくりです。

大切な陰陽五行論

五行の相互・相克関係陰陽五行論では、大腸は肺と表裏関係で、五志では「慮」に該当します。

「おもんぱかる。次々と、思いめぐらす。関連した事がらを考え合わす。おもんぱかり。あれこれと考えること。細かいはからい。気がねして控えめにすること。」

あれこれ考えたら悩みますね・・・。

肺や大腸の調子が悪いと鬱々としてくるということです。

便秘の時も気分がすぐれない、すっきりしないということはありませんか?

呼吸がうまく出来ないと猫背になって気分が暗くなりませんか?

また小腸は陰陽五行論において心(しん)と表裏関係で、五志において「笑」に該当します。

心や小腸の調子が悪いと笑えないのです。

セロトニンとリンクします。

※参考ページ

精神状態も病因として考えます

「臓腑→精神へ」という関係とは反対に、イライラが多くストレスがかかりすぎると胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったりして、「病は気から」ということも起こります。

東洋医学では「七情」といって、やはり感情が体調を崩して病気になる原因の一つとされています。

東洋医学では臓腑の状態、飲食物、気候や環境、感情の浮き沈み等々、人間とその環境全部を考慮に入れて治療にあたるのです。

半信半疑なあなたへ

鍼灸治療をまじないのように思われたり、半信半疑でいまいち気が乗らないという方は、鍼灸治療の歴史をさらっと勉強していただきたいと思います。

明治時代になるまでは、鍼灸治療と漢方薬治療が日本の治療方法でしたし医学でした。

701年(大宝元年)には大宝律令の医疾令が、続けて757年(天平宝字元年)には養老律令の医疾令が発せられて、鍼医の原型となるべく官制が定められた。

・・・鍼による治療を行う人を「鍼医」と呼んでいた。

当時の医療は「薬物・鍼・灸・蛭食」であり、鍼も医療の一つとみなされていた。

江戸時代に入ると鍼治療は急速な発展を遂げ、中には幕臣の奥医師となる者も現れて社会的地位も向上した。

Wikipedia-鍼医より

 

薬を使わずに物理的な刺激で病気が改善したり治ったりするということは、鍼灸治療は薬物依存や薬の副作用の心配が無く、薬よりもコストパフォーマンスが高いためアメリカやドイツなどで積極的に導入されています。

当院に来られる患者様も、病院では治らなかったとか薬物療法を止めたいといった方々が多いです。

なぜ鍼灸治療が効くのか

古い書物数千年の歴史が有る鍼灸治療ですが、現在まで、現在でも様々な治療家が治療方法を模索し改善して書籍を残したり、現在でも多くの治療家が論文を発表したりしています。

そういった歴史の中で、この経穴を使えば内臓の働きがこう変わるということが少しずつ明らかになっています。

例えば、ある経穴は胃酸を増やして消化を進めるとか、逆にある経穴は胃の働きを抑えて暴飲暴食しないようにするとか、皮膚疾患や蕁麻疹に効く経穴があったり、排便を促す経穴もありますし、胆嚢の口を開いて肝臓の熱を冷ますようにする経穴があったりと、経穴を上手に選択して治療すると効果が出ます。

ですから、中国のみならず、日本の江戸時代や明治〜昭和初期の古書には様々な治療実績が記録されています。

もちろん現代の専門書や雑誌でも様々な治療方法や治療実績が記載されています。

陰陽五行論に則った本当の東洋医学を基本とする鍼灸治療は、あくまでも五臓六腑の働きのバランスをとることを念頭において治療します。

ですから、肩こり腰痛だけでなく様々な疾患に対応できるのです。

そしてもし鍼灸治療が治せない方法であれば廃れているでしょう。

 
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